新宿は猫、渋谷は犬!? 「青ガエル」なき今、ハチ公前口に現れた3D秋田犬

2022.08.03

 渋谷駅のハチ公前口を出て、宮益坂の方を振り向くと、ビルの上から秋田犬が顔をのぞかせています。秋田犬は子犬で、時にはフリスビーをキャッチするなどして遊びまわります。

 これは2022年7月末に放映が開始された3Dデジタルサイネージです。毎時0分にカラクリ時計に変貌し、秋田犬が時刻を知らせます。4棟のビルに設置されたデジタルサイネージ(全8面)の合計は約1235平方メートル。ハチ公前広場はもちろん、渋谷駅周辺の広範なエリアから視認可能です。

 秋田犬と渋谷には、「忠犬ハチ公」を介してつながりがあります。1923(大正12)年11月、秋田県大館市で生まれたハチは列車に揺られて東京へ。翌1924(大正13年)1月、東大農学部の上野英三郎博士のもとへやって来ます。

 ハチはとてもかわいがられたといい、上野博士を渋谷駅に送り迎えするようになりますが、1925(大正14)年5月、上野博士が大学で急逝。ハチはその後も、渋谷駅前で帰らぬ上野博士を待ち続けたことから「忠犬ハチ公」として知られ、銅像が渋谷駅前に建立されたのです。

 ちなみに、渋谷駅前で観光案内所として使われた「青ガエル」こと元東急5000系電車が、2020年5月下旬に秋田県大館市の「秋田犬の里」へ移設されています。同年7月より、「忠犬ハチ公」を中心にした渋谷と大館の歴史に関する展示をしながら、来場者の休憩場所として使用されています。