TBS篠原梨菜アナ 朝5時からガツ食い「東大卒」イメージ脱却 体当たりロケ「幸せです」
2022.09.14
水曜日はラーメンの日-。毎週水曜午前5時17分からラーメンを口いっぱいに頬ばる女性アナウンサーがいる。TBSの篠原梨菜アナウンサー(25)。同局系「THE TIME’」(月~金曜午前4時30分)のコーナー「早朝グルメ」を担当し、「シノリナ」の愛称で親しまれる。ラーメンは水曜限定だが、他の曜日でも早朝に購入可能なさまざまなグルメの魅力を、約1分15秒の尺で余すことなく紹介している。155センチの小柄な体格からは想像できないほどの豪快な食べっぷりがたまらない。ロケに密着し、「ガツ食い」の極意に迫った。
午前5時に店前で準備をしていると、酔っぱらいに絡まれる。どうやら篠原アナのファンらしい。今度は通勤途中のサラリーマンから「応援しているよ!」と声が飛んできた。篠原アナは丁寧に腰を折って「ありがとうございます」と応じる。番組開始からまもなく1年。徐々に早朝から外で奮闘する篠原アナの認知度が高まっているようだ。
昨年10月の番組スタートから中継担当だった篠原アナの食リポが評判で、4月からは「早朝グルメ」としてコーナー化された。東大出身の篠原アナは、入社当初、「東大卒」の色めがねで見られることもあった。本人は「興味を持ってくれるという意味では非常にありがたかった」といいつつ「ただそこが自分のメインではないというのはあった」と振り返る。4年目を迎えた今、「東大」の一般的なイメージを拭い去るかのような、体当たりなロケが楽しくてたまらないという。
「今はもう早朝グルメっていうのを毎日やっていて、そこの自分は確実にありのまま。そういう意味では、そこで知ってくれてる人が増えてきているのはうれしいなって思います」
食べることが大好き。特にラーメンは学生時代から遠征に行くほど好物だ。魅力を聞くと、こう熱弁して顔をほころばせた。
「中継を始めてより深さに気づきましたね。全てが詰まっていて、かつそんなものすごく高価なものって少なくって。万人にとってのグルメみたいな。なんかすごく満足感だったり、幸せな気持ちになれる。ラーメン特有の食後の幸せみたいな。それと食べるときの麺をすするっていうことがもう幸せです」
いくらラーメン好きとはいえ、朝5時台のラーメンは、重くはないのか。「このためにおなかを減らしておきます。午前0時半に起きて朝ごはんはヨーグルトとか甘酒。固形のものは食べないんですよ。リハやって中継があって、それがお昼ご飯扱い」。中継後には、完食してから別の中継場所へ移る。「お店の方への感謝の意を込めて食べる。なるべくちゃんと食べるっていうことはしています」。
そして、正午あたりに塩分や脂質を控え、野菜を多めに摂取するというのが最近確立した1日3食のスケジュールだという。番組開始当初は、食事面で苦労することもあったが、「今はめちゃくちゃ元気です」と笑顔で明かした。その食べっぷりについては「本当においしいと思いながら食べてっていうのが、伝わっていればいいなとは思いますね」。
食レポでの苦労やこだわりも語ってもらった。「口の中がいっぱいになってしまうと、しゃべることと食べることっていうのは、両立がとても難しいですよね。だから、なかなかそんなガッツリ食べるわけにもいかないものではあるんですけど、もうこの早朝グルメに関しては私が口の中いっぱいになっても、杉山(真也アナ)さんに助けてもらうという前提で、普段食べているような感じでガッツリ食べる姿を見せるっていうのが1つ、番組の方の方針でもあるし、自分の中で気を付けてることでもある。その方が、見てて爽快というか」。
多少の押し巻きによって変化はあるが、中継時間は約1分15秒。短い時間でさまざまな情報を盛り込まなければならない。取材日には、アクシデントでラーメンが出てきたのがラスト10秒だった。篠原アナは「さあ間に合うんでしょうか、ドキドキしてきました」と、とっさに機転を利かせ、スポーツ実況が得意なスタジオの杉山アナとも協力して生放送らしいスリルで視聴者を楽しませた。さらに、後番組「THE TIME,」(月~金曜午前5時20分)のMC安住紳一郎アナウンサー(49)が番組冒頭にも「早朝グルメ」を展開。史上初の「おかわり中継」にも篠原アナは「お店の方は全く悪くないので。(イレギュラーなことは)ワクワクしますね。私は多分そちら側の人間。大変だと思う人もいるけれど、多分中継向きの人間なんだと思います」と難なく対応した。
入社当初は、ステレオタイプな「女性アナウンサー」的な仕事を自分がこなしていけるのか、自信がなかったという。「何かしゃべるのが上手なわけでもなく気配りができるわけでもなく、キャピキャピっとした明るさもないし。新人の頃は本当につらかった部分もあったんです」。ターニングポイントは「早朝グルメ」。らしさを出せるようになった。「4年目を迎えていつの間にか、もう仕事が楽しくてしょうがない。どんな仕事でも自分らしくありつつ、アナウンサーとして伝えるお仕事をしていくっていうことができるようになってきて、どんどん楽しくなってます」と充実している。
早朝とはいいつつ、朝まで飲んでいる酔っぱらいに出会うことの方が多い。そんな人たちにも「人の営みだよねって思う」と言い放つ豪快さがある。「誰もやっていないことをやりたい」「アナウンサーとして独自のことをやっていきたい」という夢を持っている。掲げたのは弁護士資格の取得という壮大な目標だ。「言っているだけで定年を迎えてしまうかも」と冗談めかしたが、あの食べっぷりと対応力を生で見た後だと、その言葉に説得力を感じる。唯一無二のアナウンサーに向かって、「しのりなロード」をまい進する。【佐藤成】
◆篠原梨菜(しのはら・りな)1996年(平8)10月29日、北海道生まれ。東京学芸大付属高-東大法学部。19年4月にTBSテレビ入社。担当番組は「THE TIME’」「THE TIME,」のほか「ひるおび」(火)、BS「報道1930」(金)、TBSラジオ「土曜朝6時木梨の会。」など。趣味はサウナ、読書など。血液型O。