「会長は裸の王様」「逆らえない社風」、社員に衝撃と怒り…経営多角化の角川容疑者逮捕

2022.09.15

 東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件は14日、出版大手「KADOKAWA」のトップに君臨していた角川歴彦(つぐひこ)会長(79)が新たに贈賄容疑で逮捕される事態になった。業界団体の要職を務め、五輪事業への参画など同社の経営多角化を進めた大物会長の逮捕に、社員らの間には衝撃が走り、経営陣への怒りの声も漏れた。

 「会社として五輪事業に力を入れていたのは知っていたが、会長まで逮捕されるとは」。14日夜、東京都千代田区の同社本社から帰宅途中の社員は険しい表情で語った。

 角川容疑者は、同社元専務の芳原世幸(としゆき)(64)、元担当室長の馬庭(まにわ)教二(63)両容疑者(いずれも贈賄容疑で逮捕)と共謀し、2019年9月~21年1月、大会組織委員会元理事の高橋治之容疑者(78)(受託収賄容疑で再逮捕)に計約6900万円の賄賂を渡した疑いが持たれている。

 角川容疑者は今月5日、東京都内で報道各社の代表取材に応じ、不正の認識について「全くありません」と繰り返し強調。「社員に(不正を)しろと言った覚えもないし、社員を信じたい」と語っていた。