障害児預かる放課後デイ、制度開始から10年で事故4100件…9割負傷・死亡8件

2023.01.23

 障害がある子どもを放課後や休日に受け入れる「放課後等デイサービス(放課後デイ)」で、子どもの死亡や負傷などの事故報告が2012年度の制度開始以降、全国で少なくとも約4100件に上ることが読売新聞の自治体への調査でわかった。負傷が約9割を占めたが、死亡が8件あり、一時的な行方不明も約350件起きていた。国への事故報告の義務はなく、自治体からは事例を共有、検証する仕組みが必要だとの指摘があがっている。

 調査は昨年11~12月、運営事業所の指定権限がある全都道府県や政令市など計108自治体に実施。死亡・負傷・行方不明の有無を回答した96自治体分を集計した。東京都については、都から権限を移譲された荒川区など4区は回答したが、都は「非公表」だった。

 昨年10月末までの事故総数は計4097件で、うち打撲などの負傷が3742件、死亡は8件、散歩中などの一時的な不明は347件。資料の保存期間の経過などの理由から全体の94%が17年度以降だった。

 死亡は、愛知県の3人、宮城、福島、福井、山口4県と大阪府の各1人。ため池や川で溺死したり、食事をのどに詰まらせて亡くなったりした3人については、事業所の対応に問題があったとして自治体が行政処分や指導を行った。

 放課後デイは身体、知的、発達に障害がある小中高生らが利用。社会福祉法人や企業などが運営し、生活能力の向上を目指す活動を行う。