アベノミクス継承、日銀が市場の状況見ながら判断-岸田首相

2023.02.16

(ブルームバーグ): 岸田文雄首相は15日、日本銀行の新執行部が金融緩和を進めたアベノミクスの路線を継承すべきかどうか問われ、「マーケットの状況等もしっかりと判断し、対話を重ねながら日銀として適切な手法を判断していくことになると考えている」と語った。衆院予算委員会で答弁した。

アベノミクスについては、デフレでない状態を実現するなど大きな成果も上がったと評価。その上で、「新しい資本主義によって成長と分配の好循環につなげていきたい。その中で構造的な賃上げを含む経済成長を実現したい」と発言。日銀に対し、政府の方針も念頭に金融政策の手法を判断するよう求めた。

第2次安倍晋三政権発足直後の2013年にまとめた政府・日銀の共同声明の改定については日銀の新体制発足後に検討する話として、「変える、変えないと言及するのは時期尚早」と述べるにとどめた。政府と日銀の連携を図ることは重要だとして、「経済、物価、金融情勢を踏まえつつ、適切な金融政策運営を行うことを期待している」と指摘した。

政府は14日、4月に任期満了となる黒田東彦総裁の後任として元審議委員の植田和男氏を国会に提示した。岸田首相は植田氏の起用について、「国際的にも著名な経済学者であり、理論実務両面で金融分野に高い見識を有する」ことから「最適任と判断した」と述べた。

人選にあたっては「構造的な賃上げを伴う経済成長と物価安定目標の持続的・安定的な実現に向けて取り組む人を念頭に、金融市場に与える影響なども十分に注意を払いつつ検討した」とも語った。