大人視点から「子どもの利益尊重」へ転換を こども庁報告書原案

 子どもに関わる政策を一元的に担う「こども庁」創設に向け、基本理念を議論する有識者会議(座長=清家篤・元慶応義塾長)の報告書原案が判明した。これまでの政策に「大人の視点で行われていた。こどもの最善の利益が考慮されなければならない」と反省を促し、関係省庁ごとの縦割りからの転換を求めた。子どもや子育てにかかわる視点での政策実現に向け、共通基盤となる「こども基本法(仮称)」制定を強調している。政府は年内にまとめる基本方針に反映させる方針だ。

 有識者会議は9月から4回会合を開き、子どもの貧困や子育て、虐待対策にかかわる関係者や、児童相談所の子どもら約50人の意見を聞いた。

 報告書原案は、これまでの取り組みで人口減少に歯止めをかけられていない現状を「社会全体の根幹を揺るがしかねない。『有事』とも言うべき危機的な状況が静かに進行している」と懸念。政策が「行政、学校や児童福祉施設など、大人の視点、制度や事業を運営する者の視点で行われていた面は否めない」と指摘し、関係省庁ごとの縦割りや連携不足、担当者間の引き継ぎが不十分といった課題を挙げた。また子どもの意見表明や自己決定を年齢、発達段階に応じて尊重し、子育て当事者の意見も政策に反映させる必要性を訴えた。

 共通の理念を生かした政策実行に向け、国際条約「子どもの権利条約」を基にした「こども基本法(仮称)」の制定を求めた。こども庁を念頭に、政策を監視・評価し、関係省庁に勧告できる組織の必要性をにじませた。

 また、子どもや家庭環境に関する情報を横断的に把握できるデータベースを構築し、申請を待たずに必要な人に届ける「プッシュ型支援」につなげることも求めた。

 子ども政策全般への投資の重要性にも触れた。国内総生産(GDP)に対する家族関係支出の割合は1・65%(2018年度)と2~3%の欧州諸国と比較して低い水準にあることから「思い切った財源投入をし、十分な人員確保が必要不可欠だ」と指摘した。

 政府は来年の通常国会に、こども庁創設の関連法案を提出する方針。有識者会議の報告書は近く提出され、政府が年内にまとめる基本方針に盛り込まれる見込みだ。【小鍜冶孝志、村田拓也】

Yahoo!ニュースより
https://news.yahoo.co.jp/articles/d1deffe254a10bcf8b4cb66d1a639404a1e10d8f

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