〈山水郷チャンネル〉の展示が開催中! うなぎの寝床・真鶴出版・ドット道東の3者から学べることは

2022.08.02

■ローカルの本質的な活動を取り上げる〈山水郷チャンネル〉
東京・丸の内のギャラリー〈GOOD DESIGN Marunouchi〉が手がける、オンライントーク番組〈山水郷チャンネル〉。

名前の「山水郷」という言葉は、山水の恵み豊かな地域と、人と人がつながり生まれる郷(さと)を意味する、〈日本総合研究所〉シニアスペシャリストでこの展示のディレクターでもある井上岳一さんがつくった造語です。

この番組が始まったのは2020年。日本各地の山水郷で、その土地でしかできない活動をする、粒揃いの個性豊かなクリエイターが軒を連ね、本質的なローカル活動の断片を知ることができる内容となっています。

現在、そんな同チャンネルのリアルイベントが8月14日(日)まで、GOOD DESIGN Marunouchiで開催中。

『山水郷のデザイン2 - 3つのコンヴィヴィアリティ』と題したこの展覧会では、〈うなぎの寝床〉、〈真鶴出版〉、〈ドット道東〉の3者が、「共に生きる」という原義を持つコンヴィヴィアリティ*をテーマにそれぞれの地域と活動を紹介した展示を実施。

*原義は「共に生きる」だが、一般には宴会や陽気を意味する。思想家のイヴァン・イリイチ(1926-2002)が「関わりの中で育まれる個の自由や生き生きとした喜び」という意味で用い、コンヴィヴィアルな世界の回復こそが、産業化され過ぎた現代社会の桎梏から逃れるための鍵だと主張した。

■三者三様のコンヴィヴィアリティ
コロカルでも何度かご紹介している九州ちくごの地域文化商社・うなぎの寝床。「つくりて」と「つかいて」の間に立ち、人・物・技術、土地性など、さまざまな背景と文化がまざりあう地域資源を顕在化させ伝えていく生態系を構築していく活動を行っています。今回は「九州ちくごの地域文化とものづくり」と題して展示。お店、都市部での店舗展開、宿、本屋、ツーリズム、企画、制作とうなぎのようにニョロニョロと蠢きながら活動する彼らの多彩さに目を奪われること間違いなし。

「泊まれる出版社」をコンセプトに、書籍の制作やウェブでの情報発信をしながら、真鶴に訪れた人を受け入れる宿泊施設兼ショップも運営する神奈川県真鶴町の真鶴出版。今回の展示では、真鶴出版が初めて訪れた宿泊者を対象に行う「まち歩き」から見える真鶴の魅力を紹介。同じくまち歩きを神戸で展開する〈シオヤプロジェクト〉 との合同展示コーナーもあります。

ローカル企業でありながら、SNSデータから見る「学生の注目企業2021」でトップ200入り。自費出版かつ自社流通のみで発行部数1万部を記録した道東のアンオフィシャルガイドブック『.doto』を筆頭に、道東の魅力をビビッドなコンテンツを生み出す北海道道東地区のソーシャルベンチャー、〈一般社団法人ドット道東〉。

今回は「道東標本」というテーマで展示を構成。広大な道東の地を色鮮やかにまとめてきた過去の制作物が並んでいます。なんと、2022年8月に発売を予定している「.doto」第二弾も、一足先に見ることができるとのこと。

彼らの取り組みは、自然とかけ離れた場所で暮らす人々にとっても仕事や暮らしの大きなヒントになるに違いありません。これからの生き方、働き方のヒントを見つけに、ぜひGOOD DESIGN Marunouchiへ足を運んでみませんか?

また、井上岳一さんの在廊日も多いそうなので、会えるチャンスがあるかも。

information
山水郷のデザイン2 - 3つのコンヴィヴィアリティDesign of SANSUIGO 2 - Three cases of Conviviality
会期:2022年7月15日(金)~8月14日(日)期間中無休
会場:GOOD DESIGN Marunouchi
住所:東京都千代田区丸の内3-4-1新国際ビル1F
時間:11:00~20:00
料金:入場無料

writer profile
Kanae Yamada
山田佳苗
やまだ・かなえ●島根県松江市出身。青山ブックセンターやギャラリースペース、ファッション・カルチャー系媒体などを経て、現在フリーのライター、編集者として活動中。まだまだ育ち盛り、伸び盛り。ファッションと写真とごはんが大好きです。

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