衛生環境悪化に懸念 死者4.6万人、百万人規模が避難 トルコ大地震2週間

2023.02.21

 【イスタンブール時事】トルコ南部で6日に大地震が起きてから20日で2週間がたった。

 これまでにトルコと隣国シリアの被災地で確認された死者は4万6000人以上。100万人を超える人々が自宅で生活できなくなる中、避難生活の長期化に伴う衛生環境の悪化が一段と懸念される状況となっている。

 地震の被害を巡っては、両国とも行方不明者の数を明らかにしておらず、さらに多くの人的被害が出ているとみられる。世界保健機関(WHO)高官は14日、トルコだけで「推定100万人が家を失い、避難場所で生活している」と述べた。トルコ、シリアとも厳しい寒さの中、被災者が寝泊まりするテントが十分に供給されていない。

 被災地の人々の苦しみに拍車を掛けるのが、トイレやシャワーの不足だ。特に大きな被害が出たトルコ南部ハタイ県では「手を洗いたくても、場所がない。何日も同じ下着を着用し続けている。ひどい状況だ」(52歳女性)といった声が噴出している。清潔な環境を確保できなければ、コレラなど伝染病が流行する恐れがあると指摘されている。

 当局は被災者向けのテント村設置を急いでいる。地震で甚大な被害を受けた南部カフラマンマラシュ県では中心部の競技場に、約3000人が暮らせるキャンプが設営された。アカル国防相によれば、ハタイ県イスケンデルン地区に北大西洋条約機構(NATO)が被災者2000人を収容できるテント村を設置する計画もある。

 ただ、被災地ではがれきが散乱し、倒壊の危険がある建物も多く、キャンプ向けの敷地を確保するのが困難なケースもある。またシリアでは、国際機関を通じた食料などの支援が届き始めているものの、特に北西部の反体制派支配地域でなお不足が深刻な状況だ。