ソフトバンクグループが4.5兆円の資産売却 これは何を意味する?(2020.04.02)東京

ソフトバンクグループ(SBG)が、約4.5兆円の資産を売却し、現金化する方針を明らかにしました。これは何を意味しているのでしょうか。

保有株式を現金化して財務体質を強化

SBGは3月23日、保有している株式などを売却し、4.5兆円の現金を調達すると発表しました。売却する株式は、中国アリババや国内の通信子会社ソフトバンクとみられています。4.5兆円のうち約2兆円は自社株買いを行うほか、残りは債務の圧縮に充当します。同社は、以前は国内の通信事業を主軸とする事業会社でしたが、ここ数年は10兆円規模のファンド(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)を組成して、全世界の成長企業に投資を行うなど、投資会社としての性格を強めていました。

同社が投資した企業は、ライドシェアのウーバーなど高成長している企業が多かったことから、ソフトバンクの株価も急上昇し、高い時価総額を背景にさらに大規模な資金調達を行うという拡大戦略を続けてきました。ところが2019年9月に投資先のシェアオフィス運営企業ウィーカンパニーが上場延期となって評価額が急落、同社も創業以来という大規模な赤字を計上しています。

ここにコロナウイルス・ショックが重なり、6000円を超えていた同社の株価は3000円を割り込むまで下がり、同社の時価総額は急速に萎んでしまいました。

基本的に同社の経営戦略は高い株価が前提となっていますから、このまま株価下落が続いてしまうと、大幅な経営戦略の見直しを迫られます。こうした事態を回避するため、同社は保有株式を現金化して株を買い支えると同時に、負債を返済して財務体質を強化します。

格付け引き下げられるも市場は相応の評価

この発表に対して大手格付け会社のムーディーズ・ジャパンは25日、信用力が悪化する可能性があるとして、同社の格付けを2段階引き下げました。

同社の時価総額は8兆円程度ですが、総資産額は36兆円、負債は16兆円程度となっており、7兆円もの自己資本があります。投資先企業の株式を売却すれば、豊富な現金を調達できますので、当面は大きな問題は発生しないと考えられます。実際、資産売却が発表されると同社の株価は一時は4000円を超えるまで上昇しており、市場も相応の評価をしたと見てよいでしょう。しかしながら、グループ企業の株式を売却するということは、その分だけ当該企業とのシナジー効果を失うということでもありますから、長期的には何らかの形でグループ戦略の見直しが必要となるかもしれません。

Yahoo!ニュースより引用 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200402-00000507-san-hlth