開成高校で合格者に「なりすまし」登校 同校が処分、都に報告

東大合格者数39年連続1位を誇る国内屈指の進学校、私立開成高校(東京都荒川区)で、今年2月に行われた入学試験に合格して入学手続きを済ませた男子生徒とは別の少年が、男子生徒になりすまして登校していたことが29日、同校への取材で分かった。同校は2人を処分し、一連の経緯について都に報告した。

 同校によると、入試は2月10日に実施。男子生徒は試験に合格し、同16日の合格者説明会に出席して入学手続きを行った。4月に入り、同校は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて対面での入学式を行わず、授業もオンラインで始めた。

 少年は合格した生徒になりすましてこのオンライン授業を受けていたといい、6月下旬に対面での授業が始まった後も、なりすまして通学していた。

 1学期末の7月下旬、出身中学から引き継がれる生徒の個人情報などが記載された「指導要録」が、合格した生徒の出身中学から届いていないことが発覚した。同校が出身中学に問い合わせると、夏休み明けの9月初頭、この生徒の指導要録が別の高校に送付されており、生徒が実際にこの別の高校に通っていたことも分かった。

 開成高校によると、2月の入試の際には試験官が5教科の試験ごとに受験票の写真と受験生本人を照合。合格者説明会でも担当者が写真を照合し本人確認をしていたが、担当教諭らは授業を受けていた人物が別人と見抜けなかったという。

 同校は本人や保護者に確認の上、なりすましていた少年を立ち入り禁止処分に、合格した生徒は除籍処分とした。ともに未成年であることを理由に、2人の関係については明らかにしていない。

 一連の経緯について、同校は28日、都内の私立学校を管轄する都生活文化局に報告した。都は適切に対応するよう、口頭で指導したという。同局の担当者は「新型コロナ問題による混乱で、出身中学から送られる指導要録の確認が遅れたと聞いている」と話した。

 同校の神田邦彦教頭は取材に対し、「別人が受ける『替え玉受験』ではなく、『なりすまし登校』と捉えている。合格者と別の生徒が登校しているとは、指導要録の確認をするまで気づかなかった」と説明した。

 一方、この事案について文部科学省の担当者は「しっかりと入学事務手続きをしていれば防げた事案だ」と指摘した。

 文科省によると、日本の学校では、児童生徒それぞれの在籍証明となる学籍や在学中の指導状況の要約などを記録した指導要録を作成しており、進学時には出身校から進学先の学校に写しを送ることがルールで定められている。

 同省は入学確定後に、受験した生徒の指導要録の有無を速やかに確認していればこの問題は起きなかったとの見方を示し、「(コロナ禍で行われている)オンライン授業が発覚の遅れに直接関係したとは思わない」と語った。

Yahoo!ニュースより
https://news.yahoo.co.jp/articles/d7a03a266ed72b66bc529fb162e4ba4c86220536