植田氏の人柄は「寡黙で丁寧」、日銀総裁就任なら人の話聞くまとめ役

2023.02.11

(ブルームバーグ): 政府が日本銀行の次期総裁として起用する人事を固めたと報道されている経済学者で元審議委員の植田和男氏。よく知る人々は「口数は少ないが丁寧な人」だと口をそろえる。

ファンド運営会社Fiducia(フィデューシア)の共同創業者、清水時彦氏は「口数が少なく、中立的な人だ」と評する。植田氏は2010年から年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)で運用委員長を務めており、当時、投資戦略を担当する調査室長などを務めていた清水氏は事前説明などを通して会う機会が多かったという。

委員長としては「前に出て委員会をリードするというよりは、各委員の意見を十分に聞いてまとめていくタイプの人だった」と話した。学者としてはヘッジファンドと何度も意見交換をするなど象牙の塔にこもらず積極的に外に出て研究をするタイプだったという。

日銀総裁としては「審議委員をされていたので日銀についても詳しく、GPIFの運用委員長として株、為替からオルタナティブ(代替)投資まで広く運用全般を見ていた経験もあるので、全体的にバランスの取れた運営をしていくのかなと思う」と期待する。

また、植田氏が21年まで4年間社外監査役を務めていたIT関連企業、メルコホールディングスの松尾民男副社長は「丁寧な話しぶりで静かな方」だと振り返った。業績に影響をもたらす経済情勢についてアドバイスをもらっていたと言い、「難しい用語を並べるのではなく、素人にも分かりやすい口調でご説明いただいた」と述べた。

松尾氏は「もし日銀の総裁になられたら、海外経験が豊富な方なので、広くグローバルな視点で日銀の運営をされるのだろうと、期待感でいっぱい」と声を弾ませた。