東京マラソン、一般参加中止…新型コロナが3万8000人に影響

3月1日に行われる国内最大規模のレース、東京マラソンの主催者は17日、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、今年の大会を一般ランナー抜きで実施すると発表した。今年は約3万8000人が参加予定だった。レースは残り1枠の東京五輪男子代表の選考会を兼ねており、日本記録保持者の大迫傑(28)=ナイキ=や前日本記録保持者の設楽悠太(28)=ホンダ=らが出場予定。代表切符を懸けた注目のレースは異例の運営態勢で開催されることになった。

新型コロナウイルスの影響が、日本の首都東京で開催されるビッグイベントを直撃した。ウイルス感染拡大の勢いが衰えを見せないため、主催者の東京マラソン財団が異例の決断を下した。約3万8000人がエントリーする一般ランナー抜きで実施すると発表した。

共催する東京都の小池百合子知事(67)は「苦渋の決断。当せんして喜んだ一般の方々には申し訳ないが、縮小もやむを得ない。ご理解をお願いしたい」と見解を示した。希望者だけを走らせるなどの案もあったというが、感染経路不明の感染者が続出したことが決め手になった。

車いすの部を含め、招待選手らエリートランナーのみで争う。レースは残り1枠の東京五輪男子代表の選考会を兼ね、日本記録保持者の大迫や前日本記録保持者の設楽悠らが出場を予定する。エリート選手としてマラソンで176人、車いすの部で30人が発表されている。東京五輪出場を懸けた注目のレースは、規模を大幅に縮小し、運営面で新型コロナウイルスの影響を強く受けることになった。

大会主催者は出場資格を持ちながら走れなかった一般ランナーに対しては、来年の大会の出場権を与えると発表。規約に基づいて、今年の大会の参加料(フルマラソンの国内ランナーは1万6200円、海外ランナーは1万8200円)や寄付金は返金しない。来年は別途納入を求める。参加料を返金しないことについて、小池知事は「都として何ができるか確認したい」とした。

感染拡大が懸念される中、主催者は2007年に始まった東京マラソンを予定通り開催するため、医師や専門家の意見を取り入れる検討チームを1月27日に設けた。出場資格を持つ中国在住者に対しては来年の大会の出場権を与えて参加料を免除すると決め、参加自粛を呼び掛けていた。

今月10日にはホームページに消毒液の配備や希望者へのマスク配布といった感染症対策を掲示したばかりだったが、宮内庁はこの日、23日に皇居・宮殿で行われる予定だった天皇誕生日の一般参賀を取りやめると発表。ウイルスを巡る事態が深刻さを増しており、大会約2週間前に異例の判断となった。

都の担当者は「(ウイルスの)対策がより強固になるので(今回の対応を)否定するつもりはないが、楽しみにしているランナーやスポンサーからの協賛金など、さまざまな影響が考えられる」と肩を落とした。

男子マラソンの川内優輝(32)=あいおいニッセイ同和損保=は自身のツイッターを更新し「今後、他のイベントも中止・縮小が相次ぐと思いますが、それらを契機に少しでも早く収まって欲しいと思います」とつづった。

似たコースを走る予定だった五輪マラソンは札幌に移転し、東京マラソンも規模縮小となった。東京都の関係者からは「二重の不運が重なった」と嘆く声が上がった。夏に東京五輪を控える中、ウイルスの脅威がスポーツ界に広がり続ける。

Yahoo!ニュースより引用 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200218-00000005-sanspo-spo